病院で働いている私の体験談を紹介します。

80歳代の桐島さん(仮名)の病室を訪問した時
部屋全体が異様な雰囲気、匂いを放っていました。

ベッドのシーツはもちろんベッドの柵、床下も汚れており
桐島さんに尋ねました。

私「なにかありました?」
桐島さん「自分でもよくわからない、トイレ行きたい」
私「そうなんですね、じゃあトイレに行きましょうか」
桐島さん「うううー、トイレ」
私「その前に手を洗いましょうね」


さて、今回の患者さんは弄便、つまり便いじりを行っており
オムツ内に排泄した便をいじっていました。

そのためベッド柵や床下にまで便が付着し汚れていたのですが
病院、施設ではそれほど珍しくはないと思います。

しかし、自宅で認知症の方の介護、あるいサポートをしている人にとっては
かなり強烈だと思います。

便はやはり汚いですし、”触ってはいけないもの“というイメージがありますよね。

そんな便を自分で触って、周りに散らしているのですから
ご家族の方にとってはすこししんどいと思います。

もし、あなたがこんな場面に直面したらどんな対応しますか?

あるいは既にこんな場面に遭遇したらどのように対応したでしょうか?

ご家族の方や人づたいに話を聞いてみると

「なにしてるの!汚いじゃない!」
「そんな手で他のものは触らないの!」
「便を直接触るなんて頭おかしいんじゃないの!?」

というようについ怒鳴ったり、叱ってしまうことがよくあります。

匂いも強烈ですが、便を弄るというのは衛生的にも良くないですし
つい怒ってしまうという気持ちはわかるのですが
何事も認知症の方の気持ちになって考えることが大切です。

便いじりをしてしまう認知症の方の気持ちとしては

・便がおしりにたまって気持ち悪いなー
・お腹にもおしりにも便がたまって嫌だな
・んーオムツがかゆい、手で掻きたい
・手になにか付いたな?なんだろうこれは。

というような気持ちがあります。
(もちろん認知症の方、人それぞれですので、他の気持ち、考えがあります)

さて、上記のような気持ちがある認知症の方に
怒鳴ってしまったり、怒ってしまうというのは
大きなストレスを与えてしまう要因になります。

便弄りの大きな要因としては、便失禁ですが
オムツ内、ズボン内で便を漏らしてしまうと気持ち悪いですよね。

誰だって、オムツを交換してもらいたいと思うし
おしりを清潔にしたい、なんとかしたいと思います。

オムツ内に便がたまると痒くなってしまったり
認知症の方にとっては、便失禁をしたという意識がないので
おしりにある不快感を確かめようと便を弄る要因となります。

弄便をしてしまう認知症の方の気持ちとしては
このような気持ちがありますが、正しい対応、接し方は
どんな風に行えばよいのでしょうか?


①便失禁を防ぐ

便失禁を未然に防ぐことができれば
便いじりも防ぐことができます。

以前、トイレでの失敗について対応、対策について
紹介したい記事もありますので
合わせてこちらも参考にしてくださいね。

▼トイレの失敗をまず防ぐには?声かけが重要な鍵!

小まめにトイレに促したり
声かけを行うことによってトイレでの排泄を促します。

トイレで正しく行うことで
認知症の方も不快な気分になりませんし
サポートをする私たちも楽ですので、お互い良いですよね。


②おしりの衛生、清潔を保つ

おむつをしている方は、同時にパットや
あるいはリハビリパンツなど利用している方もいると思います。

便失禁に限らず、尿失禁を起こしてしまい
パット、おむつ内に便、尿がたまってしまうと
これがおしりの痒みの要因になってしまいます。

また、本人も不快に感じ、その不快さをなんとかしようと
おむつ、ズボンを弄ってしまうことが多々あります。

そのため、便失禁を起こしていなくても
おむつ、パットが汚れてしまったら、小まめに交換し
清潔さを保つことが大切です。

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③責めない、怒らない、叱らない

どんな場面でも認知症の方と接する時は責めたり、怒らないことが大切です。

弄便もそうですが、認知症の方にとっては、弄便をしてしまう気持ちがあります。

過度に責めたり、怒ってしまうことは大きなストレスを与えてしまい、
認知症進行の要因になりますので
まずは相手の話、気持ちを聞く、柔らかく受け止めることが大切です。

さて、対応、接し方としてはこのような方法となります。

よく弄便をさせないように、手首をベッド柵に固定して、腕を拘束したり
両手を動かせないように縛ったりする方がいます。

あるいはつなぎ服を着せて、おむつをいじれないようにすることが
予防策、対策という話もよく聞きます。

腕の固定やつなぎ服というのは、介護をする側にとっては楽かもしれませんが
認知症の方にとっては非常にストレスになります。

そのため体全体を動かしたり、大声をあげたり
時には暴力、暴言の要因となることもあります。

正しい対策とはいえませんし、余計に認知症を進行させてしまうこともあるので
腕の固定やつなぎ服の利用は控えましょう。



さて、今回は認知症の方の弄便、便弄りについてお話しました。

便をいじる、ということにびっくりしてしまい
つい強い言葉をかけてしまうことがありますが
ゆっくりと柔らかく声をかけることが大切ですね。