認知症と接する時、なかなか会話が続かなかったり
あるいは、やりとりがちぐはぐになってしまった
相手がなにを言いたいのかなにを伝えたいのかわからない場面ってありますよね。

自分の意見も相手に伝わらない場面もたくさんありますし
病院で働いているとどうしても、自分の気持ち、考えが伝わらない場面にもよく遭遇し
相手がなにを伝えたいのか、わからなくてもやもやする時もあります。

さて、そんな時はどうすればいいのでしょうか?

また”会話“や”人とのコミュニケーション、触れ合い“が
認知症進行予防、対策に良いという話を
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

実際、コミュニケーションは認知症発症予防に
おおいに有効な方法ですし
私のこのサイトでもコミュニケーションの大切さ、
人との繋がりさについて、よく紹介することがあります。

ただ、会話があまり成り立たなくなってしまって

どんな話をしていいかわからない
どんな話題を出せばいいかわからない
何を話せばいいんだろう

そんな風に悩まれる方もいるかと思います。

今回はそんな疑問を解消するために
“会話”というテーマで認知症を紹介したいと思います。


自分の考えが伝わらない、相手が気持ちがわからない!

まずは冒頭でも紹介したようにこのお話です。

簡単に私の職場での体験談を紹介します。

高橋さん(仮名)は80歳のおばあちゃん
認知症が最近進行し、口数はあるものの、なにを言っているのか
よくわからない場面が多くなってきました。

私「高橋さん、こんにちは、今日は調子どうですか」

「あー、どうしようどうしよう困ったなー」

私「なにか困りごとがあるんですか?」

「あーあー紙、紙がない、あー」

私「紙がないんですか?なにか書くのでしょうか」
「紙を持ってきますね」

その後

「!!(すこし苦しそうな表情)紙ね紙ね!」

私「他の紙がいいのかな?雑誌かな、本かな?」

「あー!!!!あー!!!(怒ったような表情)」


さて、こんなやりとりがありました。

一見、紙を探しているようですが
なぜこの方は紙を探していたのか、あなたはわかるでしょうか?

認知症の方でよく言葉を取り違えてしまうや
“言葉にならない言葉”でなにかを訴えることはよくあります。

上着を探してるのに、”ぼうし!ぼうし!”
めがねを探しているの、”あれだよ!あれ持ってきてよ!”
トイレに行きたいときに、”ああー!はやく!はやくしてよ!”

こんな風に言葉を間違えてしまうことや
単語を思い出せず、”あれ”や”これ”といった代名詞を発言することはよくあります。

またなにか気持ちを伝えたいときに
“あー!!”とか”もう!急いで”など一見叫んでいるような発言もあります。

こんな場面に遭遇したときに

「なに言っているか全然わからないよ!」
「ちゃんと喋らないとわからないよ!」
「・・・(またなにか言ってるよーと思いながら無視)」

こんな風に対応してしまう話をよく聞きます。

スポンサーリンク

認知症の方も人間ですから
気持ちはありますし、強く怒られたら嫌な気持ちになってしまいます。

例え、怒るつもりで言っていなくても
ちょっと強い口調で”ちゃんと喋ってよ!“なんて言われたら
萎縮してしまいますし、時にはムカッときますよね。

私たちの生活でも、目上の先輩や偉い上司から
強い口調でなにか言われたら
“ごめんなさい!”とか“なに怒ってるの?”など
感じることはあると思います。

まず接する時は、穏やかに、
そして、相手の気持ちになって、
相手が何に困っているのか、相手がどんな状況にいるのか
冷静に考えることが大切です。

認知症の方に限らず、高齢者の方は言葉の取り違いや
単語が思い出せないことはよくあります。

これは、若い人と比べ、多くの記憶を持っているため
記憶を引っ張ってなにか発言する、というのも難しくなると言われています。

まずこのことを踏まえて
相手の身に寄り添ってみましょう。

ちなみに上記で紹介した、紙を探していた高橋さんですが
この方の要因としては、便失禁を起こしてしまったために
自分でなんとかしようと、紙を欲しがっていたことが原因でした。

トイレに誘導し、綺麗にお尻を拭くと
すっきりしたような表情になり
落ち着きさを取り戻しました。

叫んでしまう方やなにかわからないことを発言する認知症の方がいますが
叫んでしまう心の気持ち、発言する状況におかれていることを理解して
原因はなにか?と気持ちは冷静に、表情は笑顔で対応すると
スムーズにやりとりできることがあります。


どんな話題を話せばいいの?

認知症には会話が良い、という話を聞きますが
一体どんな話を行えばよいのでしょうか?

これは個人的な印象なのですが
相手の趣味、仕事、好きなことに関係する話をすると
比較的相手も興味を持って話をしてくることが多いです。

例えば、若いときに学校の先生の仕事をしている方に

どんな科目を教えていたのですか?
私は国語が好きだったのですが、〇〇もいいですよね
勉強が苦手だったので〇〇の科目は苦手でした
では、▲▲さんは今でも〇〇のことを覚えているんですね
よかったらその話を詳しく教えてください!


などなるべく、相手の好きな話、得意な話が話しやすくなるような
会話作り
も大切ですね。

できるだけ、相手の趣味や仕事などが
自分の経験、自分の趣味と重なっているとなお良いです。

ご家族同士で会話するのであれば
昔話に花を咲かせるのも良いです。

親戚の〇〇さんの娘さんが子供を出産されたんですって。
〇〇はあなたも昔会ったことあるしお茶もしたことあるでしょ?
そういえば、あの時、娘さんとあんなことがあったわね。


というように昔の話をすると
興味を持ってくれる時があります。

認知症は最近の記憶からすこしづつ失っていくのですが
過去の話、昔の話、若い頃の記憶というのは
認知症が進行しても覚えていることが多いので
最近の話ではなく、相手が覚えているエピソード、話題を見つけること
会話を楽しむコツだと個人的に感じます。


相手に話が伝わらない!

相手の話がよくわからない、という場面では
冷静に、穏やかに対応することが大切だと話しました。

では、自分の気持ちが相手に伝わらなかったり
相手になにかしてほしい場面や、なにか協力してほしい場面の時に
相手に伝える時にはどうすれば良いのでしょうか?

これは私の経験になりますが
喋る言葉よりも見る言葉のほうが
伝えやすいことがよくあります。

喋ってなにかを伝えるとき
伝わらない場面はよくあります。

認知症の方の言語機能が低下していることが要因ですが
聴力が低下していることも大きく関係しています。

認知症の方は高齢者の方が多いので
聞き間違い、はっきり言葉を聴きとれないこともよくあります。

そのため、なにかしてほしいことがあった場合
紙になにかを書いて、言葉を伝えると、比較的スムーズに
自分の気持ちが伝えることができます。

紙に書いてなにか伝える場合
耳で聞くときと比べて、じっくり見て、じっくり頭で整理して考えることができるので
より伝わりやすいのかと思います。

もし、なにか伝えたい場面の時に
ぜひ紙を使った会話方法を検討してみてくださいね。



さて、今回は認知症を会話という観点から紹介しました。

会話は私たちの生活の中では当たり前のことですが
認知症の方は、会話ができない!話ができない!と思われて
会話が少ない環境におかれることもよくあります。

人と話ができない、話をしないというのは
人によっては寂しさ、心細い感情を抱えることもあるので
偏見を持たず、積極的に話かけることが大切ですね。