認知症の方の食事のトラブル、悩みは意外と多いです。

ご飯を出しても全く食べない!という意見や
ご飯を食べてもすぐにこぼすし、上手に食べれない!
という話を良く聞きます。

食事は私たちが生きていく中で
なくてはいけない生活リズムの1つなので
やはり食生活が乱れるのは心配になってしまいますよね。

食事を全く拒んで拒否がある、時には暴力を振るうということもありますが
反対に過食傾向になり、どんどん食べ物を食べる!食事を出しても
またすぐにお腹が空いた!
と言う方もいます。

一概に認知症と言っても症状は多彩ですね。

さて、今回は認知症の方の食事の好き嫌いについてです。

私たちでも食べ物の好き嫌いはありますが
認知症の方は、好き嫌い、というものを通り越して
同じものばかり食べる、好きなものばかり食べる、
といった偏食が見られることがあります。

認知症の方で高齢者の方も多いので
同じものばかり食べるとなるとちょっと心配ですよね。

できるだけ偏りなくバランスの良い食生活が理想ですが
偏食がある認知症の方にはどうすればいいでしょう?


なんで偏食があるの?なんで食べ物好き嫌いがあるの?

私たちでも食べ物の好き嫌いがありますが
中には毎日同じものばかり食べている方もいますよね。

ただ、そんな人たちでも

こんな食生活はあまり良くないなー
たまには別のものを食べたいかも。
いけないとはわかっているけど、ついつい同じものばかり食べてしまう

などなど罪悪感や自責の念を持っている方もいます。

しかし、認知症の方はそのような感情を持っていることは
あまりないです。

それはなぜでしょう?

認知症は”認知“が低下するため、認知症とも言いますが
この認知、というのは、記憶、判断、見当識、思考などの能力から成り立っており
これらの能力が低下し、さらにそのことが要因で
日常生活を送ることが難しくなってしまったり
他の人の迷惑をかけるような状態を”認知症”といいます。

そのため、認知症の方は判断力、思考をするという能力が低下していることが多く
同じものを食べても、特に気にしないし、何も思わないという状態になってしまい
過度の食べ物の好き嫌い、偏食の要因となってしまいます。

高齢者の方は肥満、高血圧、糖尿病、心臓病など
別の病気、生活習慣病を持っている方も多いです。

偏った食事を続けていると
認知症だけでなく持病も悪化させてしまう要因ともなるので
正しい対策、対応をし、改善することが大切です。

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原因はなに?対策は?

偏った食事を摂っている認知症の方が身近にいたら
あなたはどんな対応をとりますか?

あるいは既に身近にいて、普段どんな対応をしていますか?

よくある声かけ、会話としては

・好きなものばっかり食べちゃだめでしょ!
・他のものももっと食べなきゃよくならないよ!
・嫌いなものももっと食べなさい!

というような話を良く聞きます。

実際に私が勤めている職場でも
お昼時に患者さんのご家族がお見舞いに来て
食事風景を見て、ご家族が

「なんで好き嫌いするの!全部食べきゃ家に帰れないじゃない!」

と強く怒鳴ったりする場面を見ることもあります。

認知症の方を怒鳴ったり、責めたり、強い口調でなにか意見を言うことは
あまり良い対策とは言えず、かえってストレスを与えてしまいます。

認知症の方にもその人の考え、気持ちがありますし
偏食をしてしまう要因があります。

その要因を考えることで対策も変わります。


要因1 視野の問題

認知症にもいろいろなタイプがありますが
脳血管型認知症といわれるものがあります。

脳梗塞、脳出血が原因で認知症になってしまうことがあるのですが
その際、半側空間無視、といわれる視野の障害を患ってしまう場合があります。

この障害は、視力や眼は特に異常がなく
視界には物が見えているのですが、その物に”気づけない“という
ちょっと想像するのが難しい障害です。

食事を出した際に、左のものばかり食べる、右のものばかり食べる
というちょっと変わった食べ方をすることもあります。

また半側空間無視以外にも単純に眼の病気で視界が狭かったり
視力が極端に低下して食べ物を認識できない、という場合もあります。

その場合、眼科などで相談し、対策する必要があります。
まずは主治医の先生に相談することが大切ですね。


要因2 味覚の問題

認知症の方に限らず、高齢者の方は
若い頃と比べて味覚が変化すると言われています。

認知症を患うことで更に味覚が変化し
一定の味しか味を感じることができなくなる”味覚障害“を
併発することも多いです。

そのため、ある食べ物のみおいしいと感じ
一定の食べ物ばかりを食べ、偏った食事になってしまうということがあります。


要因3 判断力の問題

これは上記でも紹介したように判断が鈍ってしまうことが要因です。

人にもよりますが、認知症になってしまったことで

おかずがなくなるまでは、ずっとおかずを食べ続ける
味噌汁がなくなるまでは、ずっと味噌汁を食べ続ける

という1つのものに固執した食べ方になる人もいます。

これは”他のおかずを食べる判断が低下している”という状態でもあり
判断力の低下ともいえますね。

この場合、適切な声かけを促すことや
食べ物のお皿の配置を変えることで改善する場合があります。

大まかな要因としてはこれらが要因です。
認知症の症状は多彩ですので
他にも要因はあります。


具体的な対策は?

具体的にどんなことをすればいいのでしょうか?

①無理に勧めない

ついつい強い口調でこれも食べなきゃ!と言ってしまいたくなりますが
そんな時はぐっと気持ちをこらえましょう。

できるだけ

・こっちのご飯もおいしいよ!
・このおかず頑張って作ったから食べてほしいな。
・この野菜、今が旬でおいしい時期なんだって!

というように柔らかい口調で言うことが良いです。

②食事のセッティングを変える

先ほどの視野の問題にもなりますが
食事の際にお皿の配置を変えることで
別のおかず、食べ物を食べるということがあります。

偏食がある場合、無理にその食べ物を取り上げるのではなく
さりげなく別のお皿を近くに置いてみたり
食事を始める際に、いつもとは違うおかず、ご飯の配置にしてみましょう。

また高齢になり、箸を上手に使えないために
箸で取りやすいものばかり食べてしまうということもあります。

箸ではなく、フォーク、スプーンを使うことで
別の食べ物も食べやすくなり、食が進むということもあるので
認知症の方の身体面もよく考えることが大切ですね。

③食事を変える

ある一定の食べ物、ある一定のおかずばかり食べてしまうことがあると思います。

そんな時は野菜やお米、おかず、お肉などなど全部ひとまとめにして
丼ぶりのような食形態で食事を出すと食べてもらえることがあります。

いつも出している野菜を生ではなく、煮物にしてみたり
あるいは炒め物にしてみたりと、調理法を変えることで
偏食が改善する場合もあるので、食形態、料理の仕方も考えてみましょう。

対策としては以上になります。

他にもあるとは思いますが
他に良い対策、私の家ではこんな風にやっているよ!
などなどありましたら、コメント、メールをくださいね。




さて、今回は認知症の方の食べ物の好き嫌い、偏食についてお話をしました。

食事は栄養の偏りなど心配になってしまい
ついつい強い言葉をかけてしまいがちですが
何事も柔らかい態度で接するように心がけましょう。