認知症予防、発症防止について、このサイトではお話することが多いですが
たまには私の体験談についてお話します。

私の職場での出来事です。

自宅で転んでしまい、入院となってしまった88歳のおじいちゃんの小林さん。

病院の診断からは大腿骨転子部骨折と診断され、手術することになりましたl。

手術は成功で、リハビリを経て、以前と比べて
足の力は多少落ちたものの、誰かの手助けをもらえれば
トイレに歩いていくことや、食堂に歩いていくくらいであれば
歩けるほど回復していきました。

ある時、私が小林さんと一緒に歩いていたとき、
小林さんの娘さんがお見舞いにやってきて
こんなやりとりがありました。

娘「お父さん!綺麗に歩けるようになったんだね!頑張って!」

小「んーそうだねー、歩くの怖いねー」

娘「ほらほら、下向かないで前見ないと危ないよ!」

小「あらら、足がねー、痛いんだよ」

娘「頑張れ頑張れお父さん!」

小「・・・(なにも言わずに笑顔になる)」

娘「そうだよ!ほら、足を前に出して!!」

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その後、娘さんは自宅に戻り、
小林さんとこんな会話がありました。

私「娘さんが応援していましたね!」

小「んー??」

私「さっき来ていた人ですよ!覚えていませんか?」

小「誰か来ていたけど、誰かわからないよ」

私「さっきの方は小林さんの娘さんですよ」

小「そうなの?娘?なんのことかな」


名前は仮名であり、性別、年齢等について多少ごまかしを入れています。

小林さんは重度の認知症であり
娘さんの顔や名前はもちろん、娘がいる、ということさえ認識できない状況でした。

私と小林さんとそのご家族は
病院関係者と患者、そのご家族、という関係です。

しかし、娘さんの名前や顔を忘れる、という状況を
目の前で見て、かなり心が痛み、その一日は頭の中がその出来事で一杯でした。

いろいろとご家族から話を聞いてみると
昔は娘さんは小林さんからかなり可愛がられていたようで
そのことを知っていたので、余計に私は落ち込みました。

認知症はなんてつらい病気なんだろうか
認知症発症は悲しいことだな

とかなり気分が落ち込みました。

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ただ私以上に娘さんはいろいろなことを考えていると思います。

小林さんはというと、娘さんがいる、ということを忘れてしまった、あるいは気づけなくなってしまったので
落ち込みもせず、生活をしています。

このような出来事は仕事上、よくあるのですが
やはり認知症は怖い、というより悲しい病気だと感じることが多いです。

認知症の発症を予防することが大切ですが
いざ発症してしまうと、そのまま発症に気づかず、進行してしまうこともあります。

今回、小林さんは、足の治療で入院されましたが
認知症(アルツハイマー型)を発症したのは5年ほど前ということでした。

診断を受けるよりも前に認知症のサインに気づき
早めに治療、対策を受けていれば現状は変わっていたのかもしれません。

悲しい認知症ですが
小林さんは顔、名前を覚えることができないほど認知症が進んでいます。

にも関わらず、娘さんが来て、お話しをすると
いつもよりニコニコすることが多いです。

私や他の看護士が接するよりもご家族の方と接しているときのほうが
より笑顔が増えるので、家族の愛情というのは素敵だと思いますし
介護、サポートをする上でなにより大切だと実感しますね。

介護をする上で正解はないとは思いますが、
介護を受けている人の笑顔や感謝の言葉というのは
正解に近い返答の1つなのでは、と感じることが多いです。

私の職場での出来事をお話しましたが
私自身、患者さんやご家族の方から得るものは非常に多いですし
認知症は本当に多彩であり難しい病気と感じることが多いです。

笑顔、愛情を持って接すると
家族といえども心を開いて接することが多いので
ぜひ笑顔で接してみてくださいね。