認知症の方でトイレの失敗、ご家族からの悩み相談は多いです。

私自身、病院で勤務していますが
車椅子からベッドへ移乗する時に気づいたら便まみれになっていた、ということもありますし
一緒に椅子に座って話していたら、床に水溜りができていて失禁していた!なんてことも
たびたびあります。

ご家庭で認知症の方を抱える方にとっては
暴言、暴力等の悩み、不安を抱える方も多いですが
同じくらいトイレ、排便、排尿でのトラブルやストレスを持つ方は多いですよね。

何気なく私たちはトイレに行き、用をたし、トイレットペーパーを使い、清潔を保つ。

こんな一連の動作ですが、認知症の方はこの動作が難しいことがあり
介護の大きな負担になっていることが多いです。

さて、トイレでの失敗はなぜ起きてしまうのでしょうか?

今回はそんなトイレでの悩みや原因、対策、
またやってはいけない対応の仕方などを紹介します。

目の前で認知症の家族が失禁をしてしまった。
そんな時に知らず知らずにあなたはやってはいけない行動をしていませんか?


なんでトイレを失敗するの?

すこし私の体験談をお話します。

80歳代のアルツハイマー型認知症と診断されたヒロシさん(仮名)
いつもニコニコしていて穏やかな性格で
その日も運動後に私とベンチで話をしていました。

今日はどんなご飯を食べたの?好きな食べ物はなんですか?
というような会話をしている中
ヒロシさんが喉が渇いた、といって立ち上がった瞬間です。

ズボンはもちろん、靴、靴下、また床下、ベンチ全体に
多量の便が流れ落ちました。

しかし、ヒロシさんは特に困っていない様子で
何事もなく私に話しかけてきます。


あなたなら、こんな時にどう対応していますか?

さて、このような場面はよくあるかと思います。

認知症を抱えるご家庭であれば、よくご家族の方が

・「なにしてるの!汚いじゃない!」
・「もうしっかりしてよ!トイレに行きたいなら言ってよ!」
・「汚いねー、自分で掃除できる!?」

なんて言葉をついかけてしまいます。

やはり認知症の方も同じ人間ですし
私たちと同じようにどこでもトイレをしたい訳ではありません。

好きで漏らしてしまったわけではないのに
このように怒られてしまうと
認知症の方もストレスを感じますし
そのストレスは余計に認知症を悪化させてしまう要因となります。

認知症の方は、自分がどこにいるのか、今何時なのか、といった認知機能が低下しやすいです。
(これを見当識の低下、見当識の障害といいます)

自分がどこにいるのか、というであれば
当然、トイレがどこにあるのかなんてわかりませんよね。

もしかしたら、今回のヒロシさんは喉が渇いた、と言って
実はトイレを探そうとしていたのかもしれません。

トイレがどこにあるのかわからず、あたふたしているうちに
漏らしてしまったのかもしれませんよね。

また高齢者の方は尿意、便意を感じる神経機能が落ちていることがよくあります。

そのため尿意、便意などを特に感じず、
立ち上がった時にお腹に力が加わってもれてしまった、ということも考えられます。

いくつか理由が考えられますが
トイレを失敗してしまった、ということは
失敗してしまうなにか理由、原因があり
まずその理由、原因、さらに相手の気持ちを考えることが大事ですね。

そのため、今回のような例であれば

・「この場所はトイレではないですよ、一緒にトイレを探しましょうか」
・「つい漏らしてしまうことはありますよね、誰にでもあるので気にしないでくださいね」
・「便などで気持ち悪くないですか?一緒に体、手を洗いに行きましょうね」

と、穏やかに、柔らかく、優しく接することが大切です。

失禁、便失禁をしてしまった方の中には
そのことをひどく恥ずかしく思ったり、自分はこんなこともできないのか・・・、と落ち込んでしまう方もいます。

そのため叱ったり、責めたり、怒るというのは
気持ちを逆撫でてしまいます。

まずはできるだけ穏やか
そして、自分はできるだけ慌てず冷静に対応することが大切です。

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予防策はなにかないの?

失禁時の接し方について述べましたが
やはり予め防ぐ、というのも大切ですよね。

どうすれば、トイレで正しく用を足せるのでしょうか?

①トイレまでの誘導をわかりやすくする
②こまめに声かけをする

認知症の方は自分がどこにいるのかわからない方が多い、という話をしました。

そのため、トイレまでの道すじをはっきりとわかりやすく示すことで
トイレに誘導しやすくする、というのが一つの予防策と言えます。

小まめにトイレまでの道に張り紙を張ったり
トイレのドアにわかりやすい装飾をつけることで
誘導しやすくなります。

またこまめに「トイレに行きたくないですか?」「おしっこはしたくないですか?」などなど
声かけをすることで失敗を防ぐことができます。

認知症の方では尿意、便意を感じにくい方が多いですが
声かけをされることで
そういえば、何となくトイレに行きたい気もするなー
という返事をする場合も多くあります。

その際、トイレに一緒に行き、便座に座ることで
排尿、排便を促すことができます。

特にトイレに行く気分じゃなかったけど
便座に座ってみると、気づいたら尿、便が出た

こんな経験、私たちでもありませんか?

これは便座に座ることでお腹に圧力が加わることで
排尿、排便を促すことができますし
またゆっくりとトイレに座り、リラックスで副交感神経が働きます。

排尿、排便をする時は副交感神経が働くので
この副交感神経の働きを促すも大切になります。

トイレのこと以外でも
認知症の方と接する際に小まめな声かけはとても大切になり
たくさん話しかけ、悩み、困ったことを聞くことも非常に大事です。

ぜひ柔らかく、優しく声かけをしてみてくださいね。



さては、今回はトイレと認知症の関係についてお話しました。

トイレでの失敗はストレスがたまることもありますが
決して咎めず、頭は冷静に、接し方は温かくすることが大切ですね。